設計者からのコメント佐藤工夢店株式会社
一関の中でも歴史ある街道のほど近い田村町の一角にご計画のご依頼をいただきました。建物が写る景色、建物から映る景色、どちらも重視してよい借景もできる環境と、付近にもある蔵のイメージを崩さないように、昔からそこにあるかのような建築がしたいと考えました。
古くても良いものはずっと価値を残すことをよくご存じあるお客様で、古材や切り石などのストックもお持ちだったものを活用させていただきました。加工する道具もろくに無い時代にこれだけの仕事をした昔の職人には頭の下がる思いで、栗の古い梁や蔵の戸、またポーチの縁取りをしている厳美石などその表情は非常に豊かであり、玄関でご家族やお客様を迎え入れたり送ったりするたびに趣ある空気に自身の立ち位置を再認識させられます。
断熱気密性能も良く、家中を輻射冷暖房パネルが夏は鍾乳洞のような涼しさ、冬は陽だまりの暖かさに体感をデザインします。外での暑さ寒さを含む様々な負荷はせめて家では取り払い、外は真冬の寒さでも中は素足でも暮らせるくらい温度差ムラの無い快適な環境と、ご希望の無垢材と漆喰で仕上げた住まいでゆったりと安心して暮らしていただければ幸いです。