水戸の家

日本エコハウス大賞2019 大賞受賞
どんな暮らしにも寛容なエコハウス

設計者からのコメント株式会社サンハウス

茨城県水戸市の住宅街に建つ。前面道路側の前庭はコモンスペースとし、木々を植樹してベンチを設け、近隣に憩いの場を提供。周辺環境に配慮するだけでなく、窓の数や位置を検討して外部環境と室内が呼応するよう工夫している。木や石、珪藻土といった天然の素材を用いることで、風土に根ざした住まいをつくり出した。

水戸の冬は気温がマイナス5℃まで下がり、平均気温は新潟市とほぼ同じだが、平均日射熱量は高い。そのメリットを生かすため、窓を南側に集約し、ダイニングの土間床は日射取得による蓄熱が出来るように計画。厳寒期にはその土間床に温水パイピングした配管に温水を送って暖房を行う。太陽光発電による電気を即時利用し、温水を蓄熱槽に送り込むなど、電力会社からの送電に頼らない自立型を目指している。また、住まいの生涯コストを考えて、この家では温熱性能のほか耐震等級3、耐風等級2、省令準耐火をクリア。意匠・構造・温熱の三位一体の設計がなされている。

設備設計・エネルギーアドバイザーの役割

  • 熱量・光熱費計算

    Q値の計算を行い、暖房を空気熱ヒートポンプシステム1セットで賄える断熱仕様になっているか断熱材の厚みや構成を確認・熱交換換気導入などをアドバイス。

  • 温熱環境計画(暖房・冷房容量計算・配置計画)

    温熱環境と設備機器の実験として、ラジエーター(放射式)・土間床暖房(放射式)・エアコン(対流式)・床下エアコン(間接放射+対流)の4方式の設備を設置、熱電対で温度測定を行い、比較検討できるようになっている。玄関ホールとつながる広いダイニングは日射取得による蓄熱と土間パイピングで温度が均一な暖房を計画。また、ダイニングと螺旋階段の間に除湿型放射冷暖房 PS HR-C を配置し、風の無い快適な空間とした。2階階段ホールには冷暖房兼用でエアコンが設置され、リビングの畳スペースに床下エアコンが設置されている。

  • 機械室

    玄関脇の収納スペースに熱源機・換気装置のスペースを計画して頂き、メンテナンス性を確保した。

  • 換気計画・風量測定

    光熱費削減と花粉症対策のため、第1種熱交換換気システム 日本スティーベル LWZ-170を選択。浴室にも排気を接続し、浴室の素早い乾燥と排熱回収を行う。また、換気ダクトの汚れを防止するため、外気フィルターBOXを設置している。換気風量の適正化のため、風量調整・風量測定を行った。

  • 断熱施工マニュアル・指導住まい環境プランニング

    効果的な断熱施工と気密性能の確保のため、断熱施工マニュアルを作成。現場指導を行いながら、断熱施工の質の向上と、気密性能の目標を0.5c㎡/㎡以下をクリアするために、測定しながら漏気箇所を指摘、気密性能を確保した。

主な構成

設計・施工 株式会社サンハウス
断熱施工マニュアル・指導 住まい環境プランニング
設備設計・
エネルギーアドバイザー
イーシステム 横山直紀
基本情報
建築地 茨城県水戸市
構造 SE工法 木造在来工法 2階建て
延床面積 106.8㎡
外皮平均熱貫流率(UA) 0.28W/㎡・K
熱損失係数(Q値) 0.97W/㎡・K
相当隙間面積(C値) 0.3c㎡/㎡
冷房期の平均
日射熱取得率(ηAC)
1.6
暖房期の平均
日射熱取得率(ηAH)
1.6
一次エネルギー消費量 37.42MJ/年
地域区分 5
URL http://www.sunhouse.bz/sunhouse/
断熱仕様
屋根・天井 マグブローライト22K 330㎜
充填マグブローライト22K 120㎜
付加マグ付加断ボード32K 60㎜×2(240㎜)
基礎断熱 防蟻剤入EPS 100㎜(立上り)
基礎土間 防蟻剤入りEPS 50㎜(スラブ下全面)
開口部 サッシ木製サッシ「ノルドフェンスター WOOD」(Low-Eトリプル硝子・アルゴンガス入)
一般部分:樹脂製サッシ「エルスターX」(LIXIL)(LOW-E3層ガラス、アルゴンガス入)
天窓部分:天窓(VELUX)
ドア木製断熱ドア ノルドMFD / SOLID
設備
暖冷房熱源 空気熱HP 三菱 エコヌクールピコ40×1台 エアコン
暖冷房
放熱器
除湿型放射冷暖房 PS HR-C
放射暖房 PS HR
土間温水パイピング
給湯熱源 エコキュート
換気 第1種熱交換換気システム 日本スティーベル LWZ-170 外気フィルターBOX
創エネ 太陽光発電パネル 蓄電池
その他 耐震等級3 耐風等級2 省令準耐火