2020年に施行が予想されていた住宅の省エネ義務化が先送りされ、「建築主に省エネ基準への適合可否等の説明を義務付ける制度を創設」との見通しとなりました。
以下、国土交通省Webサイトからの引用
【小規模住宅・小規模建築物】
・建築士に対して、建築主の意向を把握した上で、建築主に省エネ基準への適合可否等の説明を義務付ける制度を創設し、建築主の行動変容を促すことが適当
「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について」(第二次報告案)の概要①リンク
これで、現状では日本に一般住宅の省エネ義務化が無くなりましたが、「説明を行わずに省エネでない建物を建ててはいけない」という事になります。
しかし、逆に読替えると、「建築主に説明さえ行えば省エネでない建物が建てられる」事にもなります。
そんな中、行政から2019/1/5締め切りでパブリックコメント募集がありましたので、私も住宅の省エネに係る者の義務と思い、パブリックコメントを提出してみました。
なるべく、行政に受け取りやすいコメントにしてみたつもりです。
以下、提出した内容です。
今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について
経済効果について
日本は経済大国として世界に認知されているが、住宅の省エネ義務化を行わない事で、国内からの国外向けの冷暖房機器・熱交換換気・断熱サッシの分野において競争力低下の影響が及ぶのではないかと懸念しております。
現状でもヨーロッパや中国などのアジア圏向けの省エネ商品を国内向けと分けて製造するメーカーは多数存在し、そういった商品は国内では住宅の省エネ義務がないため、需要が低いという理由で販売されないケースを耳にします。
日本には全館暖房の文化が根付かないのは、断熱気密性能が低く、維持できないというのは、当たり前の話ですが、ヨーロッパ諸国からの観光客が冬に日本の屋内が寒いと感じたり、暑すぎて不快と感じるのは、先進国を自負する日本ではとても恥ずかしい事ではないでしょうか?
また、住宅性能が低い家では結露などが原因で腐食が進み、住宅の寿命が短くなるため、短いスパンで建替えや修繕が必要です。そういう状況では、住宅ローンと光熱費の支払いに追われ、他の消費が落ち込む事が懸念されます。また、そういった住宅ではエネルギーの価格変動に影響を受けやすく、エネルギーを他国の輸入に頼る日本では不利に働きます。消費を抑えてエネルギーの輸入量を減らす事を優先すべきです。
将来の経済を見据えるなら早期に住宅の省エネ義務化を行い、国内外の需要を高め、競争力を育成し、優れた技術を発信する事が、国民や国際社会での日本の役割ではないでしょうか?
医療費
日本国内では安全であるはずの屋内でヒートショックによる死亡事故(約14000人H25東京ガス都市生活研究所)が交通事故を上回る2.4倍の死亡事故が報告されていますが、死亡しないで後遺症を発症し、療養している患者さんの数は相当数いらっしゃると思います。これに伴い高齢化社会を迎えている日本では、健康保険の財源を大きく圧迫していると想像できます。省エネ基準が義務化行う事は、屋内のヒートショックを減らし、事故未然に防ぐ事につながると思います。
補助金制度
日本では補助金の募集期間が短く、しかも、様式が毎年変わってしまいます。(不正儒教者対策かもしれませが)
住宅の計画は慎重に行うと1~2年かかる事がありますが、募集時期に合わせて建設するのは現実に即しておらず、大手ハウスビルダーが大量に枠を確保して中小が募集出来ない事例があるのではないでしょうか?
スイス・オーストリア・ドイツなどのヨーロッパでは補助金の募集期間が長く、長期の計画でもスムーズに申請する事が可能のようですので、省エネ基準が義務化していれば、確認申請時に書類も一緒に審査可能になるのではないでしょうか?
断熱性能や省エネ政策などの学校授業の導入
住宅購入時に役立つ正しい情報や知識を身に着けてもらうため、中学校、高校の授業で段階的に教育を行ってもらいたい。
国土交通省補助事業で行われた住宅省エネルギー技術の中でもUA値の勉強をしないと、一般ユーザーが住宅の購入や中古住宅の断熱リフォーム時に費用対対コストの判断が正しくできないと思われます。
ただし、UA値の計算自体は簡素化されており、高等教育時に十分理解出来る内容であると思います。
公共施設のトップランナー基準の導入
公共施設特に学校や市役所などでヨーロッパ並みの超高性能建築物の導入を進めて欲しいです。
エネルギーの消費が抑えられるほかに、国民に「こんなに快適で、しかもエネルギーが抑えられる」とPR出来るのは間違いありません。体感しないと信じてもらえないケースを沢山見てきたので、住宅の省エネ化を促進させるためにも、是非取り組んでもらいたいです。
上記を踏まえた上で、住宅の省エネ義務化を早期に実現して頂きたいです。