秋田のもるくす建築社さん佐戸の家。
当社は住宅性能全般の計算と開口部の選定、換気のお手伝いをさせて頂きました。
この日はDotメンバーへの見学会でした。
計画段階から、住宅性能の計算に係って来たので、出来上がった建物に入ると感慨深いものがありました。
トリプルガラスからの日射取得で暖房負荷を減らす。
見学した日は廃材を熱源とした温水暖房をしていましたが、2月中旬に無暖房でも19℃になっていたそうです。
夏の日射遮蔽のための外付けブラインド。
ここまで日射取得がある家の場合、やはり最後は日射遮蔽が重要になりますが、それもきちんと対策しているあたり、設計手法にスキがありません。春先や秋、冬のオーバーヒート時にも活躍しそうです。
室内にブロック+石材の蓄熱壁の設置されたダイニング。
断熱材が分厚いはずなのに、天井ギリギリに設置されたトリプルガラスの窓
それを感じさせないデザインと、日射が入っても急激に温度が上昇しない様子から、建物の蓄熱容量が高い事を伺わます。
断熱・気密性を極限まで高めてエネルギーをあまり使わなくても済む住宅性能。
(前先生の言葉を借りれば「必要にして十分な断熱性能」)
分厚い断熱である事が伺えるガラスクラッドのトリプルガラスが設置された開口部。
躯体には420㎜の木質断熱層がある。
ドイツスティーベル社の高性能熱交換換気システムの導入。
給湯・補助暖房は雪国の秋田に対応して垂直に設置した太陽集熱温水+貯湯タンク1000ℓ
廃材を利用できる薪温水暖房(本体輻射3割、温水変換7割)は貯湯タンクにも接続されている。
放熱器にはスラブ配管とピーエス社製の冷暖房兼用のパネルヒーター(階段前に設置)。
エアコンはありません。
(宿谷先生の言葉を借りれば「空気調和」より体感温度の高い「放射調和」)
太陽光発電等は2.2kWと最小限にしながら、ディープサイクルバッテリー20kWhの蓄電池の設置
家電品は省エネな最低限度のものを選ぶ等、工夫はあげたらきりがありません。
世の中には様々な省エネ住宅と銘打った建物がありますが、この建物こそ、目指すべき本当の省エネ住宅のあるべき姿だと思います。
佐戸の家 エネルギー自給自足