昨今の住宅の冷暖房設備において、エアコンを用いた全館空調が多くなっていますが、「エアコン1台で冷暖房できる!」「エアコン以外では設備費用が高くなりコスパが悪い」などの意見を耳にします。
「エアコン1台で冷暖房できないのは性能が悪いからだ」というご意見の方もいるそうですが、基本的にエアコンはエアコン本体にセンサーが付いているので、他の部屋の温度を感知出来ません。感知した範囲が暖まると止まるので、壁掛けエアコン1台のみで温度差を無くすのは非常に難しいです。
また、北東北では厳寒期に外気温度が-5℃~-10℃以下になる事が頻々にあり、外気温度の条件で変わりますが、高性能窓でも表面温度が18℃以下になるので、住宅性能の向上と空気暖房だけでは温度差なく暖房する事は困難です。
当社で推奨する「裸足で生活できる」「どこにいても温度差のない快適な温熱環境」を実現するための、参考図書について書きたいと思います。
これらを理解出来れば、北東北に必要な断熱気密の知識や設備について理解して頂けると思います。
北の住まいの熱環境計画
BIS(断熱施工技術者)の資格を得るための教科書です。
住宅性能の計算方法や北海道での断熱気密施工のやり方はもちろん、開口部の計画や換気計画、暖房設備容量の計算について書かれています。
最近仙台や岩手でも受験できるようになりました。
平成25年改正省エネ基準対応の熱計算方法と外壁200mm断熱標準の各部位の仕様・施工方法を分かり易く図解。全国のZEHビルダーの参考書としても最適な一冊です。
一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構(IBEC)
住宅の気密性能試験方法
気密測定技能者育成・資格取得のための資料です。全国で受験できます。
気密測定の現場の基本となっていますが、実際には現場でほとんど理解されていないと思います。
気密測定の測定方法や計算のやり方などが記載されており、断熱性能(UA値やQ値)を確保するために
必要な気密を確保するための考え方をマスターするにはしっかりと理解する必要があります。
http://www.ibec.or.jp/investigate/air-tightness.html
結露ってなんでするんだろう?という素朴な疑問を解決してくれます。
たとえば、石油ストーブで1ℓの石油を燃やすと1.1ℓの水蒸気が発生するのでそれが家の中の温度が低い窓などに結露するなど、イラスト付きで結露のメカニズムが良くわかります。
東京大学 前 真之准教授著でハウスメーカーや工務店が良く言う営業トークやなんちゃってエコハウスを見分けられる知識が詰め込まれた一冊です。
今年2巻目が出るようですが、科学的に解説してあり、イラストや写真でわかり安く解説してあるので、読みやすい本です。
また、熱損失、熱伝導などの物質の熱の伝わり方の3つ 伝導 放射 対流について解説されています。また、エアコンの温度がどのように部屋に回るか、温度差はどうなるかなどをシミュレーションした画像は必見です。これが理解できないと、当社が推奨するパネルヒーターを語れません。
ちなみに著者の前准教は、私や長土居さん、Dotプロジェクトの仲間達と共に2015年にスイス・オーストリアに同行して頂いてから、セミナーの内容にヨーロッパ視察のネタが反映されていた時期がありました。
日本建築学会編集で宿谷先生や札幌大学の齊藤教授など著名な方々が執筆されています。著者の一人である齊藤教授とお会いした際にご推薦して頂いた本です。
他の本は空気暖房などが主に書かれていますが、パネルヒーター等放射暖房が有効な理由や平均放射温度の考え方、その他建築にまつわる高度な知識が掛かれています。
写真が多いので、すぐに理解出来なくても、しばらくして読み返すと理解が深まるかもしれません。
日経ホームビルダー出版 岩手の住まい環境プランニング古川氏著の結露完全解決本
古川氏は岩手県出身で全国的にも有名になりましたが、当社でも断熱施工指導を複数依頼しており、私とセットで一緒に仕事をしたりしています。
様々な結露の原因を経験から写真付きで解説されており、施工者として注意しなければならない事や、「あー、コレ、やっちゃってる・・」というような事が沢山のってます。
施工者の防露バイブルです。